薬物解禁スポーツ大会

ドーピングOKの大会が開催されるとのことです

https://news.yahoo.co.jp/articles/6b1e772d2081e2b0a8f714aaad9aaa70d4a62a22

5/22産経新聞より
「薬物使用(ドーピング)を解禁して世界一を決める新たなスポーツ大会「エンハンスト・ゲームズ(進化した大会)」の運営団体は21日午後(日本時間22日午前)、第1回大会を来年5月、米ラスベガスで開くと公表した。」

これは衝撃的な試みですよね。
ドーピング問題があると「追放しなくてはいけない」という声がある一方で、
実際ドーピングOKなら、どれくらい人間は強くなれるのか?」は究極のテーマでしたからね。
今回はこのテーマについて、少し考えていきたいと思います。

禁止薬物が販売されるリスクについて

この件に関しては議論になると思いますが、僕は良くないと思います
なぜかというと、このイベントで使われた薬物を販売するとされているからです。

エンハスドゲームはエンハンスドゲームという団体の主催イベントであり、民間の団体なので、営利目的で活動しています。
営利活動である以上継続的に事業を行っていく必要があります。

イメージとしては僕がスクワットをする時につけている
・リストラップ(手首の保護)
・パワーベルト(腰の保護)
・ニースリーブ(膝の保護)
のグッズのように
・テストステロン(筋肥大)
・HGH(細胞修復)
・エリスロポエチン(持久力向上)
といった禁止薬物が、エンハンスドゲームのロゴなどが入った状態で販売される可能性があるということです。

エンハンスドゲームではイベントのチケット販売、放映料などの他に薬物を販売すると発表しています。
普通のサプリメントなども販売されるでしょうが、ドーピングチェックで引っかかる薬物も販売されるでしょう。
それが知識のない若者が手に入れ、使用することでたくさんのデメリットがあります。

例えば公式の大会に出ないからといって禁止薬物をつかってみたところ、スポーツの楽しさを知ったとします。
しかしその時点で公式の大会には出れず、機会を失うことになります
また本人が理解せず、周りの大人に薦められて使用するケースもあるでしょう。
本人への影響はもちろん、一緒にスポーツする「薬物を使用していないプレイヤー」の自信喪失にもつながります。

この数年でかなり市民権を得てきたプロテインですら、
いまだに「人工的なものを取るのは体に悪い」「腎臓に悪影響」といった偏った批判にさらされています。

そこへ禁止薬物の使用推進をしていくというのは、行き過ぎたスポーツ振興の一面を感じます。

薬物には「強い作用」があるから禁止されている

ドーピングが禁止されているのはずるいからでなく、危険だからです。
コントロールしていれば危険は少なくなるかもしれませんが、一般人が真似するとそうはならないでしょう。
特に若くて無謀なアスリートや知識のない一般人が真似した時にリスクは高くなります。

活躍している選手はカッコよく見えるし、スポーツを開催する団体もヒーローのように扱うでしょう。
グッズは売れるし、選手が使っている薬物を真似する人もいると思います。
僕も尊敬する先輩がパフォーマンスアップのネックレスをつけていたのを見て、即真似しました。
ネックレスくらいなら問題ありませんが、薬物は若い無謀なアスリートや知識のない一般人が真似すると非常に危険です。

酒やタバコなど健康を害するものが、未成年に禁止されているのと同じですし、それよりも危険なものも存在します。

スポーツは健全だけじゃ成り立たない

一方でこのドーピングをすることを含め、「危険」や「限界」が刺激的なコンテンツになるのは間違いありません。
ドーピングを黙認しているボディビル団体があったり、WWEというアメリカで大人気のプロレス団体でも薬物使用を公表している選手が何人もいます。

ドーピングとは違いますが、F1やラリーも公道では走れない機材などを使って猛スピードでレースをしています。
このような刺激的なコンテンツには危険であるにも関わらず、ファンがたくさんつき、活躍している選手はヒーローになり、社会的地位や多くの収入も得ます。

そして一方でドーピングがなくても、スポーツの頂点を極める選手は怪我や常識の範疇を乗り越えてトレーニングをしています
アマチュアスポーツをやっている僕ですら、親に止められるくらいのトレーニングをしているくらいですから、
プロ選手となると「健全」というレベルではないでしょう。

「薬物を使っていないから健全であるとは言えない」との反論にも一理あります

僕が思う薬物公認スポーツのデメリット

ショーとして行う分には問題ないという意見もありますが、
僕はデメリットの方が大きいと思います。
思いつく3つをあげると

・危険を顧みず、真似する人が出てくる
・ナチュラルなアスリートの地位低下
・人体実験の側面

こういった問題が出てくることが想像されます。
それぞれの意見を紹介させてください。

①真似する人がでてくる

スポーツのイベントである以上、順位がついたり、有力選手をヒーローとして紹介したりするでしょう。
その過程でファンも多くつくでしょう。
そうすると、「同じことをしたい」という欲求が必ず生まれてきます。

選手と同じ環境で薬物を使うなら安全かもしれませんが、
若い無謀なアスリートや知識のない一般人はおそらく事故を起こすでしょう。

比較的安全なサプリメントである、カフェインでさえ死亡事故が起こるくらいですから、
禁止薬物ではもう少し起こる可能性が高まるでしょう。

最近では「大谷翔平がやってる・・・」と冠につければ、大人もやりたくなります。
僕も昔、尊敬する先輩が「疲労がとれるネックレス」をつけていたので、
すぐに手に入れて真似しました。

通常の販売が禁止されていたとしても需要が増えれば、供給の抜け道はたくさんできます。
今でも手に入れるルートはあるので、もっとグレーになるでしょう。
健康被害のことを考えると一番の不安要素です。

②ナチュラルアスリートの地位低下

薬物を使ったアスリートの方が成績を出すのは当たり前です。
過去の大会でも優勝したにも関わらず、あとでドーピング違反が発覚し、記録を取り消された選手もたくさんいます。

僕がもっとも記憶に残っているのは、ハンマー投げの室伏選手です。
室伏選手は銀メダルでしたが、優勝選手失格により金メダルに繰り上がりました。
問題発覚は表彰式の後だったので、室伏選手はメダル授与時は銀メダルを受け取りました。
表彰台の真ん中に立った室伏選手が見れなかったことは大変残念です。

このように薬物を使用していない選手と使用している選手を比べると、
当然使用している選手の方がいい成績を出します。
これはおそらく男女差くらいの差がつくでしょう。
そうなった時にドーピングをしていない選手の記録が軽んじられることが予想できます

Q.最速の女子選手の名前をあげてください

例えば100m走で世界最速の記録を持っている人は?と聞かれれば、
「ウサイン・ボルト」と答えられる人は多くいると思います。
では女子の最速の選手は誰ですか?と聞かれると、正解率はグッと減ると思います。
それくらい偉大な記録の前にはその他の記録はかすんでしまいます

もしドーピング可の大会と不可の大会で同じ種目を行うことがあれば、
記録は並べられ、早い記録を持っているドーピングをした選手の方が第一人者として認識される可能性があります
薬物を使っていない選手の記録は、認識される機会が薄れるでしょう。
現役中のスポンサー獲得や青少年の模範となる機会が失われ、引退後の活動にも影響するかもしれません
僕はそれを良いことだとは思いません。

ちなみに女子の記録保持者は1988年のソウルオリンピックで、フローレンス・グリフィス=ジョイナーが出した10秒49です。
僕と同じか上の世代の方は分かるかもしれませんね。
ちなみにこの記録にもドーピング含め、議論の余地があるとされています。

③人体実験の側面

エンハンスドゲームで使用可能な薬物は以下のようになると発表されています。

Enhanced Gamesは、通常スポーツ界では使用が禁じられているステロイドや成長ホルモンなどのPED(パフォーマンス向上薬物)の使用を、
選手に許可または推奨する方針を打ち出した(出典:ESPN, 2024年)。

安全のための血液検査などはありますが、ドーピングチェックは行われないとのことです。

どうなっていくのかはわかりませんが、どのアスリートも基本的には限界まで自分の体で努力しているはずです。
それよりも高みを目指して薬物という下駄を履いて背伸びをしていくわけですから、

ある程度成績が頭打ちになった際に使用する薬物の量が増えていく可能性があることは十分に考えられます。

どこまで使っていいかは個人差がありますし、血液をとってデータを集めるのは人体実験をするように思えてしまいます
病気の治療ならともかく、健康なアスリートにどれくらい薬物を投与したら悪影響がでるのか調べることはスポーツという枠から大きく逸脱していると感じます

みなさんはどう思いますか?

大会に出たりしないなら薬物使用はなんら問題ないと思う方もいると思います。
でも体を鍛えていると仲間ができたり、スポーツのイベントに参加する時がくるかもしれません。

その時に禁止薬物を使っている人は使っていない人と同じスポーツをやるのは違うと思います
僕は集団でスポーツをするときにそもそものパフォーマンスが違う人と一緒のグループでやることは、結構ハードルが高いと思っています。

大人と子供がかけっこした時に、勝ち目がない子供がやる気を失ってしまうのと同じイメージです。
そうなってしまうと大人は手加減をすることになり、本気でパフォーマンスすることはできません。
本人の努力や才能、身長などの身体的特徴なら諦めがつきますが、薬物使用は自転車レースにバイクで参加するようなものです。
結局分断が生まれてしまいますし、体を壊したら元も子もありません。

やはり僕個人の意見としては、薬物使用に関してはもう少し慎重になるべきだと思います。皆さんも意見があれば、聞かせてください。

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